下北沢の歯医者 下北沢せきにし歯科
〒155-0033
東京都世田谷区代田6丁目3−1
KAWANO SHIMOKITA NORTH 2F
[ TEL:03-6416-8602 ]

予防歯科

すべての治療よりも
プラークコントロール

すべての治療よりもプラークコントロール

プラーク(細菌)の除去が不可欠

歯周病やむし歯の原因はプラーク(細菌)です。皆さんご存じの通り、歯周病もむし歯も感染症です。感染症の原因であるプラークを除去するのが、歯周病やむし歯の治療、そして再発予防に不可欠です。
どんなに最新のすばらしい治療をしたからといって、もとの天然歯・歯周組織には及びません。

歯周病治療の場合はとくに、このプラークを除去するプラークコントロールが不十分であると、治療効果が著しく悪くなるため、歯周病治療が失敗する原因となります。
良好なプラークコントロールは歯周外科治療後の治癒とその再発予防のかなめです。なかでも再生療法は、歯周病で失った歯周組織の再生が非常に良好になることが明らかになっています。
良好な口腔清掃状態を維持することは、歯周病の進行を止めることができるということも明らかになっています。
まとめると、歯周病治療がうまくいくかどうかは、プラークコントロールに大きく左右されます。ですので、歯周病治療全体を通してその後のメインテナンス予防まで、常にプロに予防管理してもらう必要があります。

むし歯の場合、むし歯に感染したままで削る治療だけを行っていたら、修復物のふちでむし歯は継続し、まもなく再治療の時がやってくるということが明らかになっています。

どんな治療でも、プロによる定期的な予防管理がなく、ご自身による自己管理だけでは、プラークという最大の原因除去が不十分となり、よい治療システムとはいえません。予防しながら治療するのが正しい治療システムなのです。

プラークコントロールについて

プラークコントロールは、歯科衛生士と患者さんが協力しあってはじめて成功します。
プラークコントロールは、ご自身で行うセルフケアと歯科衛生士が行うプロフェッショナルケアとに大別されます。

セルフケア

現代の食生活は、細菌性プラークの付着しやすい状況であることから食生活の改善を含めた指導が必要となります。セルフケアは、ブラッシングのことではないのです。

プロフェッショナルケア

そのうえでご自身だけでは細菌性プラークを除去しにくい部位や除去できないところ(歯周ポケットの中など)があれば、歯科衛生士が積極的に歯肉縁上および縁下の細菌性プラークを除去する。また歯肉より上に見える歯石、歯肉の中の歯石、不適合な修復・かぶせ物などのプラークを貯め込みやすい環境であれば、それを改善することも含まれます。

治療が終わったら、
予防・定期検診

予防歯科について
  1. 予防=管理下にある
  2. 定期健診=管理下にない

当院の予防は全て保険外になります。理由は下記にもありますが、予防に保険は使えないからです。

予防歯科について

歯の予防方法は、すでに明らかになっています。正しく予防をすれば40代だった人が70代つまり30年後に失う歯は1本未満、問題が起きたときのみ歯科医院へ行くというスタイルだと13本以上歯を失うというデータがあります。

歯科医療は、プラークコントロールに始まり、プラークコントロールに終わります。歯周病もむし歯も感染症です。感染の除去、つまりプラークコントロール=細菌の除去が予防はもちろん、治療の成功の鍵を握っています。細菌が感染したままだから病気が発生してしまうのです。

予防歯科では、ご自身のセルフケアによるプラークコントロールが一定のレベルまで達成できているかどうかを重視し、来院のたびにチェックし、リスクの高い歯を中心にそのトレーニングをし、リスクの高い歯を中心にケアしきれていないところを私達がプロフェッショナルケアで補います。

ご自身による毎日のプラークコントロールが予防の中心です。当院では、治療開始する前にも、「予防」を必ず行います。感染がなくならない限り、進行は止まらないからです。削ってもそのふちから進行が始まるのです。歯周病の場合は、歯周外科をしても治るどころか悪化するというデータもあります。

歯だけでなく、免疫力や生活習慣などへの対策もセルフケアに含まれ、あらゆるリスク、悪くなる原因の究明、解決策をご提案して寄り添ってゆくのが予防歯科です。

予防=(徹底した予防のもとでの)
セルフケア+プロフェッショナルケア

ダイエットのために専属トレーナーのいるジムに通うのと似ています。自分一人だけでは、思うように食事や通う頻度を管理できずになかなかやせないのと同じで、ご自身の管理だけでは、予防は失敗します。

従来の歯科医院でよく行われてきたクリーニング(間違ったPMTC)は予防ではありません
ポリッシング(歯面研磨)は他力によるプラーク除去、所謂仕上げ磨きです。「定期的に通院して歯科衛生士に磨いてもらおう」という考え方では、やがてトラブルがおこります。
「セルフケアをきちんと行おう」という考えのもと、どうしてもできない部分を歯科医院でのプロフェッショナルケアで補い、同時にどうにかセルフケアをできるようになるためにトレーニングを受けるのです。この考え方があって予防は成立します。

当院の予防歯科の特徴

医院の診療体勢について
(歯科衛生士担当制など)

  1. 完全予約制 貴重なお時間を大切にしたいと考えています。質の高い医療をご提供するためにお時間を確保させていただきます。予約枠は基本的に60分程度でお取りさせていただいておりますので、お時間には余裕をもって来院されてください。 完全予約制
  2. 1時間診療 「診療の早い医院=良い医院」とイメージされるかと思いますが、一概にそうとは言えません。30分待合室で待って、20~30分クリーニングして、会計で15分待つような、とりあえず行うその場限りのクリーニングはしておりません。 1時間診療
  3. 予約制 その場しのぎ・再治療前提でない、「10年後、20年後も健康」に取り組むためのお席・お時間を確保させていただいています。 予約制
  4. 予防会員制度

    ご自身のペースでただクリーニングを行う旧来の方法では歯を守ることは出来ません。
    歯を守るためにはあなたのリスクを理解したうえで、予防のプロである私たちが判断したペースで通院して頂くのを強く推奨いたします。そのため、リスクが高い場合は週1回どころか週2回必要かもしれません。リスクが低い場合でも1~3ヶ月ごとに通院している方がほとんどです。

    従来のシステムだと、セルフケアの状態が良くないと通う頻度が上がり、その分費用が増加するため、結局、来院されなくなったり、先延ばしになったりして、結果的に予防しきれないということがありました。そこで私達は、予防会員制度というシステムをはじめました。年会費制(もしくは月会費)の今でいうサブスクリプションです。通院回数による費用の増減がありませんので、安心できると好評です。

    予防会員制度
  5. 担当制

    歯科衛生士1名が、パーソナルトレーナーのように担当いたします。担当がつくことで「今」とデータを比較しながらリスクを予測し、回避することが可能となります。毎回担当が変わると、変化に気づかずその場しのぎになってしまい、歯を守ることができません。
    精密拡大診療:全員6倍以上のルーペを使い、肉眼では限界だった部分をしっかり確認しながらの診療を行います。わずかな徴候を見逃さず、正確に診査を行うことができるだけでなく、精密なプロフェッショナルケアを行うことができます

    担当制
  6. メインテナンス予防プログラム
    (予防計画書)

    オーダーメードの予防プログラムです。一人ひとり異なるリスクを徹底的に把握し、(むし歯リスク 歯周病リスク 補綴物の材質 補綴物の適合 唾液の質と量 細菌の種類 治療経過 歯科治療歴 歯ぎしり・食いしばり 口呼吸 全身疾患 服用薬(副作用) 食事の内容 食事の時間 食事の回数 体型・・・)日常のさまざまなセルフケアの指導を受けながら実践して頂きます。特に歯のセルフケア=日常のプラークコントロール(細菌の除去)を、必要に応じた間隔のプロフェッショナルケアで補うのが最も効果的であることが実証されています。

    メインテナンス予防プログラム(予防計画書)
  7. ミクロン単位の精密拡大診療

    当院では、歯科衛生士も全員が高倍率ルーペを使用し、高い精度での診療を行っています。プラークや歯肉の微妙な変化など、トラブルの前ぶれ(リスク)を見逃しません。

    ミクロン単位の精密拡大診療

基本的な当院の考え方

  • クリーニング=仕上げ磨き
  • PMTC=セルフケア&プロフェッショナルケア
  • 定期健診=区や会社が行っている健康診断
  • 当院に置き換えると、通院していて毎回チェックを受けている方が年に一度精密検査をうけます=簡易歯科ドック

  • 初診時に、非常に精密な検査で、現在の病気や将来のリスクまで診断するのが=歯科ドック

などなど、ちょっと他の医院に比べて、特殊といえば特殊(すべては保険制度のせいでこうなってしまうのですが)な状況です。ちなみに、当院では、しっかり保険制度に準拠してメインテナンス・予防に保険は使えません。

予防歯科の重要性

予防歯科の重要性

歯の予防は、北欧を中心にすでに確立されていて、そのノウハウさえ実践できれば歯を失うことはほぼありません。

予防歯科のデータ

アクセルソンのデータ

アクセルソンのデータ

30年間で、97.7%の歯を残すことができる
その証拠に残存している歯の本数(サイトにスライドがあります)
● 2013年のスウェーデンデータ:【70代】男女とも約21本、 【80代】約19本
● 2011年の日本のデータ:【70代】男女とも約15本、 【80代】男性約14本、女性11本
40代の人が70代になると、30年でスウェーデンはたった0.7本、日本では13.7本歯を失う

つまり、予防することでほぼ全ての歯が残せるということ。
その証拠に、2005年、2004年のデータでは、メインテナンス受診率スウェーデン90%、日本16%です。
家や車は、メインテナンスしますよね。しかし、家や車は買い換えることができます。歯は消耗品です。1回しか使えない大切な財産です。1回しか使えないのであれば車や家よりももっとメインテナンスしないといけない。痛くなったり悪くなったりしてから歯医者に行くのでは、歯を失うばかりです。
歯のメインテナンスを受けている人は、48歳までは費用がかかりますが、その後逆転し、医療費が安くすむというデータもあります。(2009年豊田市、65歳で15万円以上安く)

これらにもかかわらず、日本では相変わらず「歯にトラブルが起きてから受診する」人が大多数です。わたしは、この日本の常識をひっくり返すために人生をかけます。
治療に保険が使える=病気にならないと保険が使えない
これでは、健康に投資する人が多くないようになるのは当たり前です。しかも医科と違って、補綴(被せ物や入れ歯)にも保険が使える。視力が下がったら、眼鏡やコンタクトは保険じゃないですし、義手や義足もそうです。ですので、わたしの最終目標は、保険制度を変えてしまいたい。予防に保険、治療に保険が利かない世の中。少なくとも保険制度が崩壊するか、補綴や義歯からは保険外になるようになって欲しい。その代わり予防は保険ですというふうに。でもそれには、法律が変わらないといけないので、国はなにもやってくれないでしょう。民衆がマスコミを巻き込んで声を上げてやっと重い腰が動くはずです。

メタボリックドミノ:歯こそ生命の入り口

メタボリックドミノ

良くない生活習慣を続けることで、肥満から始まり、高血糖や高血圧、脂質異常などの状態のメタボリックシンドロームを経て、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や感染症、最後には脳 卒中、心不全、狭心症や心筋梗塞など、命に関わる疾患を引き起こします。

 

この流れのことをドミノが倒れるように悪くなるのでメタボリックドミノといいますが、その最上流にむし歯や歯周病などの歯科医療があります。上流にある肥満を改善する、さらに上流の歯科医療できちんとメインテナンス予防つまり、予防歯科をしっかり行ってゆくことで、最初のドミノが倒れないので、全身の健康にも深く影響を与えることがわかっています。

オーラルフレイル

オーラルフレイル

「オーラルフレイル」とは「口腔の虚弱」を表す言葉で、口まわりの筋力が衰えることにより、滑舌や食の機能が低下することです。
オーラルフレイルによって、滑舌低下、食べこぼし、噛めない食品増加などの症状が徐々に現れます。口腔機能の低下は身体的な衰えだけではなく、心身にまで影響を及ぼすことになり、どんどん重症化していき、要介護に至る道筋です。筋力低下、歯の喪失が原因です。食べるには、咀嚼力(噛む力)と、嚥下力(飲み込む力)が必要です。口まわりの筋力が低下し、歯の本数が減少すると、オーラルフレイルへ向かいます。

 

そもそもの始まりは歯へのケアを怠ったことにあります。歯を失うことにより噛めない食品が増えることで、食への欲求・関心が減少し、それまで楽しみだった家族や友人との外食が億劫になり、自宅から出なくなり、このような心身機能、社会性の低下は、さらなる重度化を加速することになります。

口の中へ関心を持ち、若い頃からメインテナンス予防のために歯科医院へ行くこと。そうすれば介護を必要とせずにすむ可能性がかなり高まるのです。高齢期によく噛むことができれば、栄養を摂取しやすくなり、心と体の充実につながります。意欲も湧き、人とのコミュニケーションも苦にならず、生き生きと過ごせるはずです。

歯周病のかた

Beckerらのデータでは、歯周病治療後にメインテナンスに通院しない場合、メインテナンスをしている方の2倍もの歯を失う(5年に1本失う)ことがわかっています。ちなみに治療もなにもしない方は、3倍の歯を失います。歯周病の場合は特に予防(メインテナンス)が重要だということです。

メインテナンスについて

メインテナンスについて

当院のメインテナンス

当院には定期検診という考え方があまりありません。先述の予防会員制度があり、基本は定期的なメインテナンスをし、年に一度再評価を行います。これが定期健診といえばそうですが、私達は、歯科ドックの簡易版と呼んでいます。メインテナンス時には、リスクの高い順にポケットやBOP、プラークの付着の有無、カリエス(CO)のチェックなどはしますので、そこが定期健診かもしれません。
保険診療による定期検診は、一通りの治療が終わっても歯周病が残っていたり、歯肉に炎症が残っている歯肉炎等の病気が残っている場合に行うものです。

 メインテナンスを詳しく見る

メインテナンス時にわかること

むし歯や歯周病の徴候の発見がメインとなります。病気のリスクは、毎日株価のチャートのように上下します。新たにできた病気を発見するのは、当たり前だと思っていますし、それでは、予防としては失敗です。

メインテナンス(予防)を行うメリット

  1. 病気の徴候(リスク)がわかり、その対策をするので、病気になる可能性が限りなく低くなります。
  2. 未病といわれる状態で一緒に対策をしていくので、検査して初めて病気がわかるという状況にはなりません。
  3. 歯を失う可能性が限りなくゼロになります。

メインテナンス(予防)でやることは?

なによりもリスクに変化がないかを確認します。次にセルフケアの確認を行います。状況に応じてセルフケアを強化するためのトレーニングをし、ご家庭でのケアがなによりも大切であることを確認し合います。その上で、プロフェッショナルケアを行います。リスクの高い部位を中心に、自分では触れないところまでプロが100%プラークを破壊して再び付かないように工夫します。つるつるになるので、再付着しづらくなります。リスクが高い方にはその他に歯を強化するためのトリートメントケアもおこないます。
毎回来院されるたびに過去データと照らし合わせ、1年に一度定期的に再評価をしてメインテナンス予防プログラムを更新し、戦略を練って一緒にリスクと戦うのです。

メインテナンス予防の流れ

  1. ヒアリング
  2. 状況や環境、お薬の変化など、健康に関する変化

  3. 口腔内の検査
  4. (視診、歯周ポケットや炎症の有無、プラークの付着状況)

  5. セルフケアトレーニング
  6. (歯のリスク部位のケア、食生活・唾液やフッ化物など宿主・喫煙やストレスなど環境へのアプローチの仕方)

  7. プロフェッショナルケア 
  8. (機械的プラークコントロール+化学的プラークコントロール)

  9. トリートメントケア
  10. (必要に応じて)

  11. フィードバック
  12.  

定期健診はどのくらいのペースで通うのが良いのか

リスクの状態によります。初期むし歯が多い、歯周ポケットが残っているなどリスクの高い方が通院される場合最初は2週間に一度を推奨しています。リスクが高くなくても最初は月に1回をおすすめします。状況に合わせて間隔を空けていきますが、2ヶ月ごとに通院される方がほとんどです。

歯科検診

病気の発見を目的とした検査をします。お口の病気を早期発見・早期治療することが可能となります

クリニックごとに内容や費用が異なります。当院では、むし歯、歯周病がないかどうかはもちろん、かみ合わせや歯並び、あごの状態など、10,000円程度(10割負担)。

歯科ドック健診

病気を発見するだけでなく、「これから起こりうる病気」を知ることが目的の検査をします。つまり病気の原因まで発見し、その予防をするための検査です。

お口の中全体を対象に健康状態まで総合的に検査をするために、早期発見・早期予防が可能となります。

医院で行っている予防歯科メニュー

医院で行っている予防歯科メニュー

予防のために来ていただくと、日頃のセルフケアの状況のチェックや、今後どうしたらよいのか、さまざまなリスクについて相談することができます。

むし歯リスク検査を受け、セルフケアのトレーニングを受けてあなたに合った歯磨き剤や使いやすい歯ブラシなど、セルフケアグッズを選んでもらうことで、どれが使いやすくて必要なのかが明確になります。
 

もちろんこれらを省略してクリーニングのためだけに来てもらうことも可能ですが、予防の保証はできません。

クリーニング

クリーニングについて

クリーニングについて

あなたのかわりに歯をきれいに感染源であるプラークを除去します。歯周外科、インプラント手術後など、自分でケアをするのが難しい時期やとにかく1回で全てのプラークを取りたい場合におすすめです。
クリーニングは病気の治療ではなく、プロにやってもらう仕上げ磨きといったイメージです。

ただしクリーニングでは予防はできません。あくまでも仕上げ磨きですので、毎日のセルフケアでの正しいブラッシングが不可欠です。プラークは、日々食事をするたびに付着するので、つきっぱなしだと3日で歯肉に炎症が出るというデータが示すとおり、やがて歯周病になることになります。

スケーリング:
「歯石取り」は歯周病治療です

歯科医院で「歯石取り」をしたことがありませんか。

歯科のクリーニングではおなじみの歯石取りですが、普段あまり歯科医院をへ行かない方にとっては、「歯石取り」を知らない、もしくは知っているけどよくわからないという方が多いかもしれません。
そもそも「歯石の除去が必要なのか」ということまでは知らない方も多いのではないでしょうか。

歯石を取ってもらうとお口の中がすっきりしますが、単なるクリーニングだと思ってはいけません。
歯石は立派な歯周病治療です。プラークリテンションファクターといって、歯石自体は、歯周病の原因ではありません。プラークがその凸凹の表面につくこと、歯石は表面がザラザラとしているので、プラークが溜まりやすくなります。

また、歯石がつくということは、普段のおうちでのセルフケア、ブラッシングがうまくできていないということに他なりません。歯垢と呼ばれるプラークは、時間が経つと石灰化して歯石へと変化し、ブラッシングでは取り除けなくなってしまいます。

つまり、歯石除去は病気の治療。普段のブラッシング等のセルフケアができていないからついてくるものですので、トレーニングを受けてセルフケアを改善しない限り何度も歯石がつきます。除去したら歯周病にならないわけではなく、普段からプラークがつきっぱなしということですから、やがて歯周病の進行が始まることになりますので、全く予防ではない、応急処置であるということを認識していただけると良いと思います。

クリーニングの流れ

  1. プラークの染色(付着状況の確認)
  2. クリーニング(プラーク除去、仕上げ磨き)

どれくらいの頻度でクリーニングを
受けるのが良いか

あくまでも仕上げ磨きですので、お口の状況によって違ってきますので一概には言えません。リスクが低く、ご自身によるプラークコントロールがうまくいっている方は、最大6ヶ月まで間を空けてもいいでしょうし、逆に毎日ということもありえます。
リスクを調べるための各種検査をし、予防計画を立て、セルフケアの状況をチェックしないと何とも言えません
一般的に3~6ヶ月おきにクリーニングするのがいいとされていますが、本当にそうでしょうか?

自分でケアできない場所やケアが難しい場所、歯のあいだ、歯ぐきの中や歯の溝、歯周病が進行して歯の根のつけねに出てきたトンネルの中など、ずーっとプラーク(ばい菌)がつきっぱなしだったらどうなるか。
きっと数年後、残念な結果が待ち受けているでしょう。
他にも、食生活などの生活習慣、全身疾患や免疫力、唾液の量や質、ストレス、くいしばりや歯ぎしりなど、さまざまなものが歯周病やむし歯などの原因となります。

これらすべてが「リスク」(危険因子)です。

病気、重症化を事前に予測し、リスク(危険因子)を除去する行動のことを「予防」といいます。生活や人生の質を上げるツールともいいかえられるでしょう。
このリスクは、日々刻々と株価のように変動します。
これらリスクは、はっきりいって自分だけではわかりませんし、絶対に管理できません。
わたしたちプロによる、徹底した管理が必要です

歯ブラシ、フロス、歯間ブラシの使い方

歯ブラシ、フロス、歯間ブラシの使い方

予防のうち70%はセルフケア

歯ブラシ

じつは、歯ブラシ1本だけでは歯を磨けません。歯ブラシで磨けるのは、ローリスク部位(むし歯や歯周病になりにくい場所)です。たとえば奥歯の形は上から見ると4角形をしていますが、正方形と考えると歯と歯の間の面は、歯の表面、裏面とほぼ同じくらいの広さがあります。とはいえ、最も多くの面積を清掃できるのは歯ブラシに間違いありませんので、必須の器具とも言えます。60%はきれいにできます。

日本人は世界一歯を磨いているといわれるのに、80歳で残っている歯の本数が少ない理由はここにあります。

欧米では、歯間部リスク部位の清掃を必ず行います。歯ブラシでは届かない、歯の側面をきれいにすることが健康な歯をキープするのに必ず必要となってくることを子どもの頃から知っているからです。
フロス+歯ブラシで80%、歯間ブラシ+歯ブラシで85%除去できる

フロス

最強のリスク部位(むし歯や歯周病リスクが圧倒的に高い歯間部分及び歯周ポケット内)の清掃器具がデンタルフロスです。若いうちから使い方を身につけておけば、予防に最も役に立つグッズとなるでしょう。

長さはだいたい指先から肘までの距離。まず左手の薬指に2~3回巻き、残りを右手の薬指に巻き取ります。外れないように巻き、両手の幅を10センチ以上15センチまでになるようにします。両手の人差し指、親指でつまみ、その間隔が1~3センチ程度になるようにします。上下、奥歯に対して、いれやすいように工夫しながら親指の腹、人差し指の腹で押さえながら、歯の間にいれていきます。片手は、口の中、片方は口の外にあります。
フロスを歯に引っかけるようにしながら、上下に3回動かし、そのまま抜かずに隣の歯も同様に行います。次の歯の時は、汚れた部分を左薬指で巻き取り、綺麗な部分で、隣の歯間へいれます。それを全ての歯の間に繰り替えしやっていくのです。

歯間ブラシ

歯周病などで、歯の間の歯肉が減ってきた場合には、歯間ブラシが必須となります。フロスだけでは取り切れないほど面積が広がるからです。
サイズ選びを間違え、やり方を間違えるとさらに歯肉を失う可能性があり、細い場合は全然磨けないことが起こりうるので、プロに選んでもらうのが一番です。

歯石やバイオフィルムについて

歯石やバイオフィルムについて

プラークは細菌の塊

「プラーク」と呼ばれる正式名デンタルプラーク(Dental Plaque)は、むし歯原因菌や歯周病原細菌をはじめとする細菌の固まりです。黄白色を帯びた粘着性の物質で、わずか1mgに数億から数兆もの細菌が潜んでいます。プラークが増えるとむし歯や歯周病、におい(口臭)などを招くことが分かっています。プラークに潜む細菌を顕微鏡でみてみると、細菌が活発に動いています。

プラークの臭い

このプラークの発する臭いは、わたしたちがプラーク臭と呼んでいる特有の臭いを発します。デンタルフロスや歯間ブラシを使用したときのあの臭いです。歯の間は空気が少ないのでより悪性度の高い細菌でいっぱいです。あの強烈な臭いがあなたの口臭の大きな原因の一つになっています。

歯石について

プラークの深部にある無機質物の蓄積が歯石を形成します。
歯石は「死んだ細菌の固まり」であり、プラーク(バイオフィルム)のように歯周病を引き起こす原因にはなりません。みなさん勘違いしておられますが、歯石そのものは無害です。
歯石の表面は凸凹なので、プラークが付着しやすく、珊瑚礁のようなもの。すごく微生物が住み着きやすそうですよね。

バイオフィルムとは

バイオフィルムとプラークは同じもの

バイオフィルムのコンセプトは、バクテリアコミュニティ全体の生存のために進化した共同体(Costerstonら 1995)。バイオフィルムというのは、三角コーナーや排水溝のぬるぬるした「ぬめり」のことです。プラークの構造が、そのぬめりと同じ構造であることが研究でわかり、ぬめりを表す言葉として登場してきたのがバイオフィルムです。

ですから歯科だけでなく、医科、環境などのさまざまな領域で使われる言葉がバイオフィルムです。あのぬめりを想像していただくとわかると思いますが、バイオフィルムはこびりつきぬるぬると粘り着いた非常にしつこい細菌の塊です。しつこいあのぬめりと同じ構造で多種の細菌が混在したコミュニティ(共同体)として、歯の表面~歯肉の中で生きているわけです。

PMTCについて

PMTCとは

PMTCとは

プロフェッショナルケアのなかでも重要なポジションを占めます。専門にトレーニングを受けた歯科衛生士(歯科医師)が機械的清掃器具を使用して全ての歯面からプラークを取り除くことです。

歯肉の中3㎜までの全ての歯面から、むし歯や歯周病のリスクが高い歯を「選択」しながらプラークを徹底的に除去し研磨します。専用のペーストと機械を使用し、炎症のある歯肉、ポケット内3㎜、初期むし歯をメインターゲットとし、プラークの再付着を可能な限りおさえます。

このなかで特に重要なのは、炎症がある歯肉を放置しないことです。炎症があるということはセルフケアがうまくいかずに歯肉の中、歯周ポケットの中にまでプラークが入り込んでしまったことを示します。一度入り込んでしまったプラークは、ご自身での除去はほぼ不可能です。

リスクの高い歯間部歯肉の中3㎜までの研磨に不可欠な「三角型のチップまたはスパチュラ型のチップを往復運動させるための上下動コントラ」とリスクの低い歯間部以外の頰、舌側、咬みあわせの歯面の研磨に「ラバーカップとブラシを回転させるためのプロフィーコントラアングルハンドピース」を使用するのが開発者であるアクセルソンの提唱する正しいPMTCです。

従来行われてきた、ラバーカップやブラシ、コーンを使ってリスクの低い歯面、セルフケアによってほとんど 1 日 2 回磨けている場所をまんべんなく研磨するポリッシング(歯面研磨)とは全く違います。健康な歯を頻繁に研磨することで、逆に歯や歯肉にダメージを与えたり深刻な問題を起こしかねません。
また、PMTCには研磨できない深い歯周ポケット内のプラークを同時に除去することも含まれます。

PMTC はあくまでも予防歯科プログラムの一部であり、単独で行うものではありません。なによりも、患者さんのセルフケアの管理(トレーニング)の方がはるかに大切です。
その上で,それぞれの患者さんのむし歯や歯周病のリスクを予測し,必要に応じてPMTCを行うべきです。これはすべてのリコール患者さんにルーティンワークとして PMTC を行うべきではないことを意味しています。

PMTCの流れ(プロフェッショナルケアの流れ、PMTCはこの中の一部)

事前準備

検査および予防プログラム(予防計画)の作成

事前に各種検査を行い、患者さんごとにことなる、むし歯や歯周病のリスクを事前に予測し、予防歯科プログラム(予防計画)を立て、カウンセリング、コンサルを受けていることが前提です。

  1. 口の中のチェック 前回までに特定されているリスク歯面を確認しながら、炎症のある歯周ポケット、炎症のある根分岐部(根のまたの部分、水平的な歯周ポケット)、炎症のある歯肉、初期むし歯などリスクの高いメインターゲットとなるリスク歯面の特定 口の中のチェック
  2. プラークを染めだし剤で染色 このとき、同時にリスク部位をメインターゲットにしたセルフケアトレーニングを受けることが望ましい プラークを染めだし剤で染色
  3. 歯間部のPMTC→
    舌側面,頬側面,咬合面の PMTC

    専用のペーストと機械的清掃器具を使用してハイリスク歯面から順に機械的にプラークを除去、研磨

    *場合によりデブライドメント(グリシンパウダー、超音波スケーラー、ハンドスケーラー)を併用
    歯周ポケット、根分岐部(根のまたの部分)がある場合、ポケット内のプラーク除去
    石灰化プラークおよび歯石がある場合、その除去

    *セラミックやジルコニア、インプラントなど特殊な場合、研磨で表面を傷つけるため別の機械的清掃器具(グリシンパウダー、パウダーメインテナンス)を使用

    歯間部のPMTC→舌側面,頬側面,咬合面の PMTC
  4. 化学的プラーク除去 世界的に有効性が証明されているグルコン酸クロルヘキシジンで良くうがいをしていただき、粘膜や舌など歯以外に付着しているプラークを除去し、口の中の細菌数を減らします。 化学的プラーク除去
  5. トリートメントケア

    歯質強化:むし歯リスクが高い場合、リスクに合わせた頻度で別の専用のペーストを使用し、高濃度フッ化物の注入・塗布を行い、歯質を強化強化します。

    ステイン除去:茶しぶやヤニなどの歯の着色は、見た目の問題だけでなく、歯の表面がざらざらになるため、プラークが付着しやすくなりますのでつきやすい場合は定期的に除去します。

予防歯科の症例:
治療終了メインテナンス開始4年

プラークコントロールについて

治療開始直後にプラークスコアが急上昇しています。
セルフケアのトレーニングが終わると気を抜いてしまうため、治療期間中にも予防管理は必要と考えています。
治療と予防は自転車の両輪と考えていただくとわかりやすいかもしれません。

何よりもプラークコントロールが重要です。

まずは、歯周基本治療を開始します。本格的な治療開始前には、プラークコントロールを含むセルフケアを一緒にトレーニングし、プラークスコアが20%未満かつ出血率10%未満を維持できるようになることが重要となります。

口腔内だけでなく生活習慣などのリスクを減らすための予防行動全般を改善してもらいます。また、治療しながらも同時に予防、プラークスコアと出血率が増加しないよう、予防行動全般とともに管理します。

治療後が予防の本番です。予防計画を毎年更新しながら定期的に予防に通院していただき毎日のように変化する口腔内・外のリスクを徹底的に管理します。

治療前後の変化

再評価(2023)

予防計画書(2023)

毎年再評価後に予防計画書をお渡ししています。

口腔内写真:むし歯や歯肉の状態が客観的に判断できます

歯がすり減っている症例

※画像をクリックすると拡大します。

上顎のヒダヒダ等

口呼吸をしていると見うけられます。

頬に圧痕があります

日常のくいしばりを意識しましょう。歯が接触していたら最大開口10回のストレッチを行いましょう

ブラックトライアングル

歯肉退縮があり、歯と歯の間が黒く見えています。昨年と比べて進行はしていません。

CO:初期むし歯 要観察歯

昨年と比較すると進行していません。

咬耗

歯がすり減っています。歯ぎしり・くいしばりが原因です。
日常的な歯の接触に注意しましょう。
夜間のマウスピースは歯のお守りです。必ず使用しましょう。
写真でもわかるプラーク(細菌)が付着しています。歯間ブラシ・フロスを使用し除去しましょう。

歯肉退縮

全体的に歯肉退縮があります。昨年と比較して進行していません。引き続きブラシ圧に注意しましょう。
全体にステイン(着色)付着していると歯面がザラザラし、ばい菌が付着しやすくなりますので1年毎の除去をおすすめします。

レントゲン:目で見えない顎の骨や歯の根の状態が見えます

目で見えない顎の骨や歯の根の状態

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根の先の病変は改善しています。

黄色のライン:骨欠損
今後進行する可能性の高い細菌の住みか(骨欠損)があります
原因のひとつにかみ合わせがあります。

顎の関節の変形(わずか)

歯ぎしり・くいしばり・日常的な歯の接触が原因です。

エラ骨が増殖
くいしばりにより顎のエラ部分の骨が増殖しています。昨年と比較して骨欠損が進行しています。
炎症がなくても力で進行しています。

歯の検査結果

歯の検査結果

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病気の進行はありません。
しかし垂直性の骨欠損(斜め方向への骨吸収)の進行、根の股の病変が見られる歯(右上第二大臼歯)があります。
骨吸収が斜めに進んだのはなぜでしょうか? 実は力です。
ここに炎症があると歯周炎となり急に進行します。 そうならないために炎症対策ばかりでなく力対策が重要です。

炎症について

炎症は細菌VS免疫で免疫が負けている状態です。
ばい菌を減らすのはもちろん(よくケアできています)、免疫をあげる予防行動も積極的に取り入れましょう。具体的には、良質な睡眠、適度な運動、日光を浴びる、バランスのとれた食事、唾液量の増加・質の改善、腸内細菌を整えるなど。 とくに大臼歯に炎症が出ないよう注意しつつ、歯肉退縮が進行しないよう注意しましょう。

力について

かみ合わせや歯ぎしりの強い「力」が一部の歯にかかっています。夜間のマウスピース装着、日中の開口ストレッチ、ストレス対策は必須。夜間のマウスピースは歯を守るお守りです。
ストレスは免疫を下げ、夜間の歯ぎしりを増加させます。歯ぎしりは100㎏以上の力で想像も付かない動きをします。
ストレスには自然(花・緑・森林浴など)に触れることで減少することがわかっていますので取り入れることをおすすめします。

これらすべてがセルフケアです。これからは「力」に注目し、ストレスフリーで一緒に対策してゆきましょう!

歯ぐきの検査結果

歯ぐきの検査結果

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両スコアとも素晴らしいです。がんばりすぎも歯肉退縮をおこしますので気をつけましょう。

〈リスクに応じたセルフケア順序〉

  • 根の股の部分 プラウトの使用をおすすめします
  • 歯と歯の間 歯間ブラシ・フロスを使用
  • 全体フロス・歯間ブラシ
  • 歯肉退縮注意! ブラシ圧、ブラシの硬さに気をつけましょう

  • 全体ブラシ・プラウト お好きに
  • フッ化物ジェル塗布
  • マウスピース
  • マウスピースは歯のお守りです。必ず装着しましょう。

自宅でできるせフルケア

日中の開口ストレッチ

歯が接触していたら最大開口10回ストレッチを行いましょう。

キシリトール100%タブレットの使用
 

細菌を減らす硬化・菌が歯に付着するのを阻害する硬化がキシリトールにはありますので使用をおすすめします

免疫をあげる予防行動

良質な睡眠、適度な運動、日光を浴びる、バランスのとれた食事、唾液の分泌量の増加、腸内環境を整えるなど 歯肉退縮注意!

歯と歯ぐきの治療内容・歯周検査結果

歯の治療内容

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むし歯に対抗できるのは唾液とフッ化物です。唾液の質を改善するためにキシリトール100%製品を取り入れることをおすすめします。

右上中切歯 左下第二大臼歯に初期むし歯がありますので、毎回の歯質強化をお勧めします。

歯周病とむし歯は予防できる病気です

インプラントは天然歯以上に歯周病に感染しやすく、歯周病治療・予防のプロフェッショナルのもとでの定期的なメンテナンス予防は必須になります。
とはいえ、歯周病のメインテナンス予防がしっかりできていれば、インプラント周囲炎もむし歯も予防できます。治療終了後、歯周病のプロフェッショナルのもとでの定期的なメンテナンス予防をおすすめします。10年後、20年後の歯の状態が変わります。メインテナンスをほとんど受けない日本人は60代で約10本・80代で約20本失っています。