下北沢の歯医者 下北沢せきにし歯科
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歯周病治療での保険治療と自費治療の違いとは?

保険治療と自費治療の比較

保険治療と自費治療の比較

保険治療の場合

歯周組織検査

  1. 歯肉の炎症 ・プロービング時の出血(bleeding on probing:BOP)で評価
    ・歯周ポケット深さ(probing depth)
    ・1 歯 6 点計測(6 点法)
  2. 口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード) プラークの付着状態を評価します。プラーク染色液を用いて1歯を4 分割し、細菌性プラークの有無を判定します
  3. 歯の動揺度 歯の揺れ具合を3段階に分けて判断します。(Millerの歯の動揺度の分類)
  4. エックス線写真 全体をおおまかにみることができる、パノラマエックス線写真を撮影します。
  5. 咬 合 歯列全体のかみ合わせの異常があるかどうか調べます。
  6. 根分岐部病変 歯根が複数ある歯を対象に、エックス線写真を参考にして進行度を 3 段階で調べます。
  7. プラークリテンションファクター プラークを蓄積・増加させる、歯石、不適合修復・補綴物、う蝕・くさび状欠損、歯列不正、歯肉歯槽粘膜部異常・小帯異常・口腔前庭異常、口呼吸、さらに歯の形態異常、食片圧入、歯周ポケットなどについて検査。
  8. 口腔内写真 口腔内写真撮影は、口腔内の状態を正確に記録することが可能です。口腔内を5枚に分けて写真検査(5枚法)します。

治療方法

治療方法

軽度の歯周病治療では、保険診療内での歯周基本治療でも十分改善します。わたしたち歯周病認定医は、特殊なトレーニングを積んでいるため、一般開業医よりも歯周ポケット内のプラークや歯石を除去する、機械的プラークコントロールの技術が優れているため、6㎜程度の深いポケットであれば歯周外科を行うことなく改善することができます。

治療期間

治療期間

保険治療では、1回で行う治療内容や治療できる歯の本数を制限するようになっているため、通院回数が増える場合があります。

一方、自由診療においては、そういった制限がないため、短期間・無痛で保険治療よりも格段に効果のある歯周病治療を提案・提供することが可能です。

保険治療の限界や制限など

保険治療の限界や制限など

まず最も大切なプラークコントロールの制限があります。ご自身による口腔清掃の基準は、世界標準のO'Leary のプラークコントロールレコードにおいて20%未満とされております。保険診療では、回数やタイミングが規制されているため、この基準を達成しないまま治療を開始となることがほとんどなために、歯周病が治らないという現実があります。

 

ご自身によるプラークコントロールがきちんと維持できるようになるまでセルフケアトレーニングを続けたい、という場合には保険診療外となります。

それ以外にも、さまざまな制限があります。とくに中等度以上の歯周病の場合、歯を残すための治療の選択肢が限られるため、抜歯する歯が増える傾向があります。

保険治療は、検査・治療のタイミングや内容が厳格に規制されています。残念ながら、海外の標準的な歯周病治療とことなっているところがあります。よって、より精密な検査・診断、中等度以上の歯周病でより高度、少しでも多くの歯を残す治療を希望される場合には、保険診療外の検査や治療が必要となってきます。

中等度以上になりますと、できるだけ多くの歯を残すためには保険の範囲を超えた歯周外科治療の術式やその他のオプションを駆使して手を尽くす必要があります。また、治療に使用する薬剤、材料の種類、使用法も保険治療では厳密に決められています。しかしながら、保険治療ではまだ適応外の薬剤、材料とその用法が国際的に推奨されている場合がいくつかあります。

保険外診療

検査内容、検査方法

保険外の治療の前に行う追加検査
  1. エックス線写真 デンタルエックス線写真:歯を2方向ずつ14枚撮影し、パノラマX線よりも1本1本の歯・歯周組織を詳細にみることができます。 コーンビーム CT(CBCT):3 次元的に検査することができます。オペをする前に、歯周病により骨が吸収した形態を詳しく分析することができます。
  2. 口腔内写真 5枚法よりもさらに 11 枚に分けて写真検査(9枚法と5枚法の組み合わせ)します。

細菌学的検査

細菌検査

歯周病菌の菌種、比率を診断
歯肉縁下プラーク採取し、歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalisや
Aggregatibacter actinomycetemcomitans などを中心)を調べる方法。新型コロナウイルスで有名になった、遺伝子を増幅して調べるPCR法でおこないます。

治療方法
治療に制限がありませんので、あらゆる選択肢の中から、ベストな治療計画を立て、治療、実行することが可能です。

予防(セルフケア&プロフェッショナルケア)しながら治療が可能
抗菌療法(細菌検査、FMDフルマウスディスインフェクションとの組み合わせ)

通常のプラークを除去する治療では改善がみられない場合、重度の歯周病の場合、糖尿病・動脈硬化性疾患・心疾患などの全身疾患がある場合などには、抗菌療法を組み合わせます。「細菌検査」で検出された歯周病原細菌に合わせて、歯周病治療に有効として海外では一般的な抗菌薬を用いて服用してもらいます。この時、口腔内の歯周病原菌を極限まで減らすために通常は4~6回に分けて行う、歯周ポケットの中の機械的プラークコントロール(SRP)を同時に1回で行う、FMDを行います。

矯正治療:日本人の9割は矯正治療が必要だといわれています。歯周病で病的に歯が移動することも多いため、多くの場合、矯正治療が必要と診断する傾向にあります。また、歯周矯正治療という外科治療の回数を減らす可能性がある歯周病治療があります。

インプラント治療:残っている歯の本数が減るほど、咬む力を支える場所が少なくなるため、歯周病の進行は加速します。歯を失ったところにインプラント治療をすることで、支える場所を増やし、噛めるようになるだけでなく、他の天然歯を守ります。
歯周組織再生療法:歯周病で失ってしまった骨や歯肉などを復活させる方法です。
歯周形成外科療法:歯肉の色、形、厚みなどを綺麗な形態に改善する方法です。

保険治療には予防の概念がありません

保険診療に「予防の概念」がなく、ほぼ治療しか項目にないことが一番の問題です。
世界で予防歯科の重要性が認識され、日本でも「予防」という言葉が多くのメディアから発信されているにもかかわらず、日本で予防歯科に取り組もうとすると保険が使えないという事実があります。

理想的な歯周病治療をしようとすると、まずは全ての治療よりも大事なプラークコントロール(プラークの除去)からはじめなければなりません。セルフケアによるプラークコントロールの成功が、治療の中でもかなりのウェイトを占めることになりますので、ここが確立できていなければ、治療しても失敗してしまいます。ところが、歯周病の進行を止めるこのセルフケアによるプラークコントロールを練習することが回数や頻度を制限されてしまっているため、治療開始早々つまずいてしまうわけです。
また、歯周病は細菌が最大の原因ですが、他にもたくさんの原因があります。食事や栄養、生活習慣なども変えて頂くことが必要になってきます。これら全てをセルフケアといいます。ところが保険では何もアプローチできないのが現実です。

保険ではある程度から先は自分でやってくださいというわけですが、できないから歯周病になっているわけで、本末転倒だと思います。つまり、このセルフケアを改善してゆくことが重要なのです。
健康のために自己投資してゆくこと全てをセルフケアといいます。たとえば、運動をしたり、食事制限をしたり、そういう自分で自分を健康にしてゆく行為全てをセルフケアといいます。ちなみにプロが行うプラークコントロールをプロフェッショナルケアといい、両方を合わせると「予防」となるのです。
この最初のつまずきから、保険では理想的な治療が行えないということになります。予防しながら治療することもできません。
他にも先述のように様々な制限があるため、中等度以上の歯周病の場合、手を尽くせば残せる歯でも抜歯せざるをえないのが現状です。

理想的な歯周病治療の方法

保険外診療の流れ

  1. 初診(カウンセリング) ご希望や、現在のお悩みを伺います。目指す方向性をすりあわせます。当院での治療についてご納得いただけましたら、検査へ進みます。
  2. 精密な検査(歯科ドック健診) 問題を発見するだけでなく、「これから起こりうる病気」を知ることが目的の検査をします。つまり病気の原因まで発見し、その対策をするための検査です。

    お口の中全体を対象に健康状態まで総合的に検査をするために、早期発見・早期予防が可能となります。一般的な歯周組織検査に加えて、デンタルX線写真・口腔内写真・だ液検査・細菌検査など治療に重要な追加検査を行い、さまざまな問題点をあきらかにします。検査の結果をもとに診断し、治療計画を立案していきます。
  3. 治療計画(コンサル) 理想的な詳しい治療計画をご説明します。十分にご納得いただいたうえで治療を開始することになります。
  4. 治療前予防 治療より大切なのはプラークコントロールです。歯周病もむし歯も感染症です。プラークコントロール=細菌の除去が治療の成功の鍵を握っています。細菌が感染したままでは、治療の失敗などのトラブルが起き、治療しても繰り返し病気が発生してしまうのです。

    当院の専門的なトレーニングを受けた歯科衛生士が、プラークコントロールのプロフェッショナルとして担当します。
    ※予防は、治療中も継続して行ってゆきます。
  5. 治療開始(歯周基本治療) ※予防(セルフケア&プロフェッショナルケア)しながら治療
    歯周基本治療(歯周病治療、むし歯治療、根管治療)の成績が歯周外科処置の結果に大きく影響します。全身疾患や重度の歯周病で治癒が遅いなど問題があり、細菌検査で歯周病原細菌が存在するという場合、抗菌療法(FMDフルマウスディスインフェクションとの組み合わせ)を行うことで歯周病治療の効果を高めることも可能です。矯正治療やインプラント、クラウンなど補綴治療のまえにも、必ず歯周基本治療をしておくことが大切です。
  6. 歯周外科治療 歯周基本治療を行っても4 mm以上の歯周ポケットが残存する場合や破壊されてしまった歯周組織を再生する場合などは歯周外科治療を行います。一般のクリニックでは抜歯といわれるような歯でもできるだけ残すために、必要な治療です。

    歯周組織の再生を期待する場合におこなう、最もテクニックが必要な歯周組織再生療法、歯肉退縮や浅い口腔前庭などに対して歯肉を再生する場合におこなう歯周形成手術(ペリオドンタルプラスティックサージェリー)、歯周ポケットを切除することでなくし、プラークコントロールしやすい環境にすることができる切除療法を組み合わせで行います。他に歯石やプラークなどの徹底除去が目的の組織付着療法などがあります。
  7. 口腔機能回復治療 これまでの治療で感染がなくなったら、歯周病によって失われた機能を取り戻すための治療が始まります。歯周病治療の着地点ともいえます。咬合治療、矯正治療、インプラント治療、補綴治療などがあり、咬合・咀嚼、審美、発音などの機能を回復するための治療です。

    なかでも歯周病を治療するための矯正治療を『歯周矯正治療』といいますが、矯正治療は歯周病を治すことも可能な大切な手段です。決して見た目だけの回復ではありません。かみ合わせや骨や歯肉など歯周組織の回復を期待できる素晴らしい治療方法です。一般的な歯科医院では、いきなり削って詰めたり、矯正治療をしたり、予防や歯周基本治療をすっとばして機能回復をしてしまいます。そのせいもあり、一般的に治療といえばこの口腔機能回復治療をさすと皆さんも勘違いしてしまっているのが大きな問題です。

    歯周基本治療や歯周外科治療で、感染症を治療せずに口腔機能回復治療をするから再発やトラブルが起こるので、当院ではどんなにいいセラミックのクラウンも全て応急処置と見なしています。
  8. メインテナンス予防 じつはここがスタート地点です。
    どんなに素晴らしい治療も、ようやく天然の歯に限りなく近い状態まで回復できたに過ぎません。どんな治療も天然歯、天然の歯周組織には到底およばないのです。歯周病治療後のメインテナンスは必須です。とはいえ、これまでずっと継続して予防しながら治療してきたので、心配することはありません。セルフケアによる日々のプラークコントロールを、歯科衛生士が行う、必要に応じた間隔のプロフェッショナルケアで補うのが最も効果的であることが実証されています。