軽度の歯周病治療では、保険診療内での歯周基本治療でも十分改善します。わたしたち歯周病認定医は、特殊なトレーニングを積んでいるため、一般開業医よりも歯周ポケット内のプラークや歯石を除去する、機械的プラークコントロールの技術が優れているため、6㎜程度の深いポケットであれば歯周外科を行うことなく改善することができます。
歯周病治療での保険治療と自費治療の違いとは?
保険治療と自費治療の比較

【患者さんへ】生涯ご自身の歯で過ごすための、歯周病治療の選択肢
当院では、あなたの歯と健康を生涯にわたって守るため、一つひとつの治療に真摯に向き合っています。
歯周病治療には、国のルールに沿った「保険診療」と、私たちが理想とする最高の医療を提供する「保険外診療」の2つの選択肢があります。
どちらが良い・悪いではなく、「どこをゴールとするか」で選ぶ道が変わってきます。ぜひ、この表を参考に、あなたにとって最善の道は何かを一緒に考えていきましょう。
第1部:
治療の「目的」と「質」の根本的な違い
- 保険外診療:
医院の哲学に基づくオーダーメイド治療 - 保険診療:
国のルールに基づく画一的な治療
根本的な目的
保険外診療 |
◎ 健康の獲得・維持・増進(未来志向)病気を根本から改善し、より健康で美しい状態を獲得・維持することがゴール。 口腔は全身の健康の入り口であり、質の高い食事、美しい笑顔、そして自信は、心身の幸福と充実した人生に繋がります。 |
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保険診療 |
△ 病気の治療・管理(現状維持)歯周病の進行を食い止め、これ以上悪化させないことがゴール。 |
治療の質
保険外診療 |
◎ オーダーメイド時間・材料の制約なく、あなたにとって現在考えうる最善・最新の治療法を自由に選択できる。 |
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保険診療 |
△ 画一的国が定めた最低限のルールに沿うため、時間や使用材料に多くの制約がある。 |
検査
保険外診療 |
◎ 原因を特定する精密検査・細菌検査(顕微鏡、DNA検査等) ・唾液検査 ・CTによる三次元的な骨の状態の把握 |
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保険診療 |
△ 基本的な検査のみ・歯周ポケット測定 ・レントゲン検査 |
歯石除去
保険外診療 |
◎ 集中的・徹底的・1回でまとめての処置が可能 ・マイクロスコープ等を使用し、取り残しなく除去 |
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保険診療 |
△ 制限が多い・複数回に分けるルール ・1回の時間に制約あり |
外科治療
保険外診療 |
◎ 組織を再生させる高度な治療・歯周組織再生療法(エムドゲイン®等) ・様々な成長因子や骨移植材を組み合わせた外科治療 |
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保険診療 |
△ 基本的な処置のみ・歯周ポケットを減少させる手術(フラップ手術等) |
審美的な処置
保険外診療 |
◎ 積極的に対応可能・歯ぐきの黒ずみ除去(メラニン除去) ・歯ぐきのラインを整える形成手術 |
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保険診療 |
× 対象外病気の治療ではないため、保険適用にはならない。 |
使用器具・薬剤
保険外診療 |
◎ 最善・最新のものを自由に選択・成長因子や特殊な移植材 ・最新のクリーニング機器(エアフロー等) ・各種抗菌薬(歯周内科) |
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保険診療 |
△ 国が許可したもののみ昔からある標準的なものに限られる。 |
費用
保険外診療 |
△ 短期的には高いしかし、歯を生涯健康に保つための質の高い治療と、当院独自の保険外の予防プログラム(メインテナンス)への「投資」により、将来的な再治療や抜歯、インプラントなどの高額な治療費を抑制でき、結果として「生涯医療費」はトータルで安くなる可能性が高いです。これは口腔だけでなく、全身の健康、食事を楽しむ喜び、そして見た目の美しさによる心の安定という「真の健康と幸福」への投資でもあります。 |
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保険診療 |
◯ 短期的には安いしかし、国の定めたルールに沿った治療では再発リスクが高く、結果的に抜歯やインプラント、入れ歯など、将来的に高額な治療が必要になるリスクを抱えます。長期的に見れば、結果としてトータルの医療費が高くなる可能性があります。 |
メインテナンス
保険外診療 |
◎ PMTC / オーダーメイドケア・「予防」が目的 ・健康な状態を維持・向上させることで、口腔から全身の健康を守り、豊かな食生活と美しい笑顔を生涯継続するための「健康への投資」です。 |
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保険診療 |
◯ SPT / P重防・「治療」の一環 ・病気が寛解状態にあることが前提 |
制度の課題
保険外診療 |
◎ パラドックスの解消明確な費用体系により、患者さんが「健康への投資」という価値を理解しやすくなる。 |
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保険診療 |
△ 「治らない方が保険で得」というパラドックス患者さんの意識が「病気の管理」に留まり、根本的な健康意識が育ちにくい。 |
最終的な結果
保険外診療 |
◎ 本当の健康と、歯を失うリスクの低減 |
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保険診療 |
△ 現状維持、あるいは再発のリスク |
第2部:治療の「流れ」と「内容」の具体的な違い
STEP 1 歯周基本治療(燃え盛る火事を鎮火させる段階)
保険外診療 |
【保険診療に、さらなる付加価値を】 治療効果を最大限に高めます。 この段階から、予防と同じ内容の「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」を導入し、徹底した口腔ケアとリスク管理を行います。 <選択肢> ・セルフコントロール習得の徹底サポート ・細菌検査 ・CT検査 |
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保険診療 |
【保険適用の治療です】 歯周病の進行を止めるための土台作りを行います。 <内容> ① 精密検査 ② ブラッシング指導(TBI) (※ 保険の制約上、これを「一生もののスキル」として完全に習得するには不十分なのが現実です。) ③ 歯の表面の細菌除去(スケーリング) ④ 歯周ポケット深部の原因除去(SRP) |
STEP 2 外科治療(鎮火後の焼け跡を修復する段階)
保険外診療 |
失われた骨を再生させる高度な治療 歯周組織再生療法(エムドゲイン®等)、外科治療と併用される特殊な薬剤を用いて、歯周病で失われてしまった骨そのものを再生させ、歯を支える土台を強固に修復します。治療中も定期的にPMTCなどの予防ケアを行い、清潔な状態を維持します。 |
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保険診療 |
基本的な処置のみ 基本治療で取り切れなかった深層部に残った歯周病菌のすみか(歯石など)を除去するための、基本的な外科手術です。 ・歯周ポケットを減少させる手術(フラップ手術等) |
STEP 3 口腔機能回復治療(安定した噛み合わせを作る段階)
保険外診療 |
機能と審美の両立 ・セラミック等の自然で美しい材料を選択できます。 ・インプラントや、精密な入れ歯など、幅広い選択肢から最適なものを選べます。 機能回復と並行して、口腔内の状態を常に最良に保つための予防ケア(PMTC等)を継続します。 |
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保険診療 |
機能回復が中心 ・主に金属の被せ物や、プラスチックの入れ歯を使用します。 ・使用できる材料に厳しい制限があります。 |
STEP 4 メインテナンス(二度と火事を起こさないための見守りと予防)
保険外診療 |
オーダーメイドの予防プログラム 「健康への投資」です。二度と火事が起こらないように、最高の状態で維持・向上させます。これは単に口腔内の健康維持に留まらず、健康な口腔を通じて全身の健康を守り、美味しい食事を楽しむ喜び、そして自信に満ちた笑顔によるメンタルヘルスや幸福感の向上にも繋がる、未来への重要な投資です。 【当院の哲学】 私たちは、この段階こそが最も重要だと考えています。妥協のない最高のケアを提供するため、当院ではメインテナンスをすべて保険外とし、あなたのお口を生涯守り抜くための特別なプログラムをご提供しています。 |
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保険診療 |
SPT / P重防 ・「治療」の一環 ・病気が寛解状態にあることを前提 火種がくすぶっている状態(寛解)に対して、病気の再発を防ぐための最低限の管理を行うものです。 残念ながら、長期的な口腔環境の維持には限界があります。 このため、真に健康な状態を維持し、将来的なリスクを低減するためには、保険外のメインテナンスがより効果的です。 |
私たちの想い
私たちは、あなたに「その場しのぎの安さ」ではなく、「生涯にわたる健康という、最高の価値」を手にしていただきたいと心から願っています。
まずは保険適用の「歯周基本治療」から始め、その上で、本当の健康を守り育てるための次のステップについて、また一緒に考えていきましょう。
「治療」か「予防」かが保険適用の分かれ目

簡単に言うと、歯科のメインテナンスは目的によって保険の扱いが変わります。
1. 保険適用のメインテナンス(=病気の「治療・管理」)
こちらは、歯周病の基本的な治療が終わったものの、まだ再発のリスクが残っている「寛解(かんかい)状態」の患者様が対象です。病気の進行は止まっているけれど、まだ火種がくすぶっている状態を、悪化させないように管理し続ける「治療」の一環と見なされます。そのため、健康保険が適用されます。
SPT(歯周病安定期治療)
- 対象: 歯周基本治療後も、歯周ポケットが4mm以上残っているなど、再発のリスクが高い方。
- 内容: 歯周ポケットの検査、歯石の除去、歯の根のクリーニングなど、病状を安定させるための処置。
P重防(歯周病重症化予防治療)
- 対象: 歯周基本治療後、歯周ポケットは4mm未満に改善したが、まだ再発のリスクが残る方
(SPTより状態が良い場合)。 - 内容: 歯石の除去や、機械的な歯面清掃など、重症化を防ぐための処置。
2. 保険適用外のメインテナンス(=「本当の予防」への投資)
こちらは、病気の治療ではなく、健康な状態をこの先ずっと維持し、さらに向上させるための「予防」を目的とします。これは、健康への自己投資と見なされるため、保険外診療(全額自己負担)となります。
私たちは、これを単なる歯のクリーニングではなく、お口の健康をトータルでデザインする「オーラルヘルスケア・プログラム」だと考えています。
A:専門家によるケア - 本当のPMTC
歯周病ではない健康な方や、治療が完了して非常に安定した方が対象です。特殊なペーストや器具を使い、ご自身では決して磨けない部分のバイオフィルム(細菌の膜)を徹底的に破壊・除去し、歯の表面をツルツルに磨き上げて、細菌がつきにくい環境をプロの手で作り上げます。
B:あなた自身のケア - セルフコントロールの習得
私たちのプログラムで最も重要視しているのが、この「セルフコントロール」の概念です。これは、単に歯磨きの方法(セルフプラークコントロール)を学ぶだけにとどまりません。
本当の予防とは、あなた自身が、ご自身の健康の最高責任者になることです。そのために、私たちは専門的なパートナーとして、以下のコントロールができるようになるまで、生涯にわたってサポートします。
- プラークコントロール: ご自身の歯並びやリスクに合わせた、細菌を確実に除去するための最適なブラッシング技術。
- 食生活のコントロール: むし歯や歯周病のリスクを高める糖分の摂取タイミングや、歯を強くする食生活の知識。
- 生活習慣のコントロール: 喫煙やストレスなど、お口の健康に影響を与える生活習慣全体へのアプローチ。
専門家によるPMTCと、あなた自身の高度なセルフコントロール。この両輪が揃って初めて「本当の予防」が実現できるのです。
「治療」と「本当の予防」の違いが一目でわかる比較表

※横にスクロールできます。
比較項目 | 保険適用の メインテナンス |
保険適用外の メインテナンス |
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目的 | 病気の「治療・管理」 | 未来のための「本当の予防」 |
ゴール | 現状維持・悪化防止 (病気の再発を抑える) |
健康の維持・増進 (病気にならない口腔環境を育てる) |
対象となる方 | 歯周病治療後、 まだ再発リスクが残る方 (寛解状態の方) |
健康な方、または治療が完了し 非常に安定している方 |
主な処置 (専門家ケア) |
SPT / P重防 ・歯石除去 ・歯周ポケット内の清掃 |
本当のPMTC ・徹底的なバイオフィルムの破壊・除去 ・歯面の研磨(ツヤ出し) |
関わりの中心 (ご自身のケア) |
ブラッシング指導(TBI) 「指導」の範囲にとどまる |
「セルフコントロール」の習得支援 専門的なパートナーとして、以下の トータルな自己管理を生涯サポート ・プラークコントロール ・食生活のコントロール ・生活習慣のコントロール |
位置づけ | 治療の延長線上にある 医療行為 |
健康への自己投資であり、 歯科医院とのパートナーシップ |
したがって、「メインテナンス」という言葉が使われていても、ご自身の状態が「治療後の管理」なのか「健康維持のための予防」なのかによって、保険が適用されるかどうかが決まります。
保険診療について
歯周組織検査
-
歯肉の炎症
・プロービング時の出血(bleeding on probing:BOP)で評価
・歯周ポケット深さ(probing depth)
・1 歯 6 点計測(6 点法)
- 口腔衛生状態(O'Leary のプラークコントロールレコード) プラークの付着状態を評価します。プラーク染色液を用いて1歯を4 分割し、細菌性プラークの有無を判定します
- 歯の動揺度 歯の揺れ具合を3段階に分けて判断します。(Millerの歯の動揺度の分類)
- エックス線写真 全体をおおまかにみることができる、パノラマエックス線写真を撮影します。
- 咬 合 歯列全体のかみ合わせの異常があるかどうか調べます。
- 根分岐部病変 歯根が複数ある歯を対象に、エックス線写真を参考にして進行度を 3 段階で調べます。
- プラークリテンションファクター プラークを蓄積・増加させる、歯石、不適合修復・補綴物、う蝕・くさび状欠損、歯列不正、歯肉歯槽粘膜部異常・小帯異常・口腔前庭異常、口呼吸、さらに歯の形態異常、食片圧入、歯周ポケットなどについて検査。
- 口腔内写真 口腔内写真撮影は、口腔内の状態を正確に記録することが可能です。口腔内を5枚に分けて写真検査(5枚法)します。
治療方法

治療期間

保険治療では、1回で行う治療内容や治療できる歯の本数を制限するようになっているため、通院回数が増える場合があります。
一方、自由診療においては、そういった制限がないため、短期間・無痛で保険治療よりも格段に効果のある歯周病治療を提案・提供することが可能です。
保険治療の限界や制限など

まず最も大切なプラークコントロールの制限があります。ご自身による口腔清掃の基準は、世界標準のO'Leary のプラークコントロールレコードにおいて20%未満とされております。保険診療では、回数やタイミングが規制されているため、この基準を達成しないまま治療を開始となることがほとんどなために、歯周病が治らないという現実があります。
ご自身によるプラークコントロールがきちんと維持できるようになるまでセルフケアトレーニングを続けたい、という場合には保険診療外となります。
それ以外にも、さまざまな制限があります。とくに中等度以上の歯周病の場合、歯を残すための治療の選択肢が限られるため、抜歯する歯が増える傾向があります。
保険治療は、検査・治療のタイミングや内容が厳格に規制されています。残念ながら、海外の標準的な歯周病治療とことなっているところがあります。よって、より精密な検査・診断、中等度以上の歯周病でより高度、少しでも多くの歯を残す治療を希望される場合には、保険診療外の検査や治療が必要となってきます。
中等度以上になりますと、できるだけ多くの歯を残すためには保険の範囲を超えた歯周外科治療の術式やその他のオプションを駆使して手を尽くす必要があります。また、治療に使用する薬剤、材料の種類、使用法も保険治療では厳密に決められています。しかしながら、保険治療ではまだ適応外の薬剤、材料とその用法が国際的に推奨されている場合がいくつかあります。
保険外診療について
検査内容、検査方法
保険外の治療の前に行う追加検査
- エックス線写真 デンタルエックス線写真:歯を2方向ずつ14枚撮影し、パノラマX線よりも1本1本の歯・歯周組織を詳細にみることができます。 コーンビーム CT(CBCT):3 次元的に検査することができます。オペをする前に、歯周病により骨が吸収した形態を詳しく分析することができます。
- 口腔内写真 5枚法よりもさらに 11 枚に分けて写真検査(9枚法と5枚法の組み合わせ)します。
細菌学的検査
細菌検査
歯周病菌の菌種、比率を診断
歯肉縁下プラーク採取し、歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalisや
Aggregatibacter actinomycetemcomitans などを中心)を調べる方法。新型コロナウイルスで有名になった、遺伝子を増幅して調べるPCR法でおこないます。
治療方法
治療に制限がありませんので、あらゆる選択肢の中から、ベストな治療計画を立て、治療、実行することが可能です。予防(セルフケア&プロフェッショナルケア)しながら治療が可能
抗菌療法(細菌検査、FMDフルマウスディスインフェクションとの組み合わせ)
通常のプラークを除去する治療では改善がみられない場合、重度の歯周病の場合、糖尿病・動脈硬化性疾患・心疾患などの全身疾患がある場合などには、抗菌療法を組み合わせます。「細菌検査」で検出された歯周病原細菌に合わせて、歯周病治療に有効として海外では一般的な抗菌薬を用いて服用してもらいます。この時、口腔内の歯周病原菌を極限まで減らすために通常は4~6回に分けて行う、歯周ポケットの中の機械的プラークコントロール(SRP)を同時に1回で行う、FMDを行います。
矯正治療:日本人の9割は矯正治療が必要だといわれています。歯周病で病的に歯が移動することも多いため、多くの場合、矯正治療が必要と診断する傾向にあります。また、歯周矯正治療という外科治療の回数を減らす可能性がある歯周病治療があります。
インプラント治療:残っている歯の本数が減るほど、咬む力を支える場所が少なくなるため、歯周病の進行は加速します。歯を失ったところにインプラント治療をすることで、支える場所を増やし、噛めるようになるだけでなく、他の天然歯を守ります。
歯周組織再生療法:歯周病で失ってしまった骨や歯肉などを復活させる方法です。
歯周形成外科療法:歯肉の色、形、厚みなどを綺麗な形態に改善する方法です。
保険治療には予防の概念がありません
保険診療に「予防の概念」がなく、ほぼ治療しか項目にないことが一番の問題です。
世界で予防歯科の重要性が認識され、日本でも「予防」という言葉が多くのメディアから発信されているにもかかわらず、日本で予防歯科に取り組もうとすると保険が使えないという事実があります。
理想的な歯周病治療をしようとすると、まずは全ての治療よりも大事なプラークコントロール(プラークの除去)からはじめなければなりません。セルフケアによるプラークコントロールの成功が、治療の中でもかなりのウェイトを占めることになりますので、ここが確立できていなければ、治療しても失敗してしまいます。ところが、歯周病の進行を止めるこのセルフケアによるプラークコントロールを練習することが回数や頻度を制限されてしまっているため、治療開始早々つまずいてしまうわけです。
また、歯周病は細菌が最大の原因ですが、他にもたくさんの原因があります。食事や栄養、生活習慣なども変えて頂くことが必要になってきます。これら全てをセルフケアといいます。ところが保険では何もアプローチできないのが現実です。
保険ではある程度から先は自分でやってくださいというわけですが、できないから歯周病になっているわけで、本末転倒だと思います。つまり、このセルフケアを改善してゆくことが重要なのです。
健康のために自己投資してゆくこと全てをセルフケアといいます。たとえば、運動をしたり、食事制限をしたり、そういう自分で自分を健康にしてゆく行為全てをセルフケアといいます。ちなみにプロが行うプラークコントロールをプロフェッショナルケアといい、両方を合わせると「予防」となるのです。
この最初のつまずきから、保険では理想的な治療が行えないということになります。予防しながら治療することもできません。
他にも先述のように様々な制限があるため、中等度以上の歯周病の場合、手を尽くせば残せる歯でも抜歯せざるをえないのが現状です。
理想的な歯周病治療の方法
保険外診療の流れ
- 初診(カウンセリング) ご希望や、現在のお悩みを伺います。目指す方向性をすりあわせます。当院での治療についてご納得いただけましたら、検査へ進みます。
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精密な検査(歯科ドック健診)
問題を発見するだけでなく、「これから起こりうる病気」を知ることが目的の検査をします。つまり病気の原因まで発見し、その対策をするための検査です。
お口の中全体を対象に健康状態まで総合的に検査をするために、早期発見・早期予防が可能となります。一般的な歯周組織検査に加えて、デンタルX線写真・口腔内写真・だ液検査・細菌検査など治療に重要な追加検査を行い、さまざまな問題点をあきらかにします。検査の結果をもとに診断し、治療計画を立案していきます。 - 治療計画(コンサル) 理想的な詳しい治療計画をご説明します。十分にご納得いただいたうえで治療を開始することになります。
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治療前予防
治療より大切なのはプラークコントロールです。歯周病もむし歯も感染症です。プラークコントロール=細菌の除去が治療の成功の鍵を握っています。細菌が感染したままでは、治療の失敗などのトラブルが起き、治療しても繰り返し病気が発生してしまうのです。
当院の専門的なトレーニングを受けた歯科衛生士が、プラークコントロールのプロフェッショナルとして担当します。
※予防は、治療中も継続して行ってゆきます。 -
治療開始(歯周基本治療)
※予防(セルフケア&プロフェッショナルケア)しながら治療
歯周基本治療(歯周病治療、むし歯治療、根管治療)の成績が歯周外科処置の結果に大きく影響します。全身疾患や重度の歯周病で治癒が遅いなど問題があり、細菌検査で歯周病原細菌が存在するという場合、抗菌療法(FMDフルマウスディスインフェクションとの組み合わせ)を行うことで歯周病治療の効果を高めることも可能です。矯正治療やインプラント、クラウンなど補綴治療のまえにも、必ず歯周基本治療をしておくことが大切です。 -
歯周外科治療
歯周基本治療を行っても4 mm以上の歯周ポケットが残存する場合や破壊されてしまった歯周組織を再生する場合などは歯周外科治療を行います。一般のクリニックでは抜歯といわれるような歯でもできるだけ残すために、必要な治療です。
歯周組織の再生を期待する場合におこなう、最もテクニックが必要な歯周組織再生療法、歯肉退縮や浅い口腔前庭などに対して歯肉を再生する場合におこなう歯周形成手術(ペリオドンタルプラスティックサージェリー)、歯周ポケットを切除することでなくし、プラークコントロールしやすい環境にすることができる切除療法を組み合わせで行います。他に歯石やプラークなどの徹底除去が目的の組織付着療法などがあります。 -
口腔機能回復治療
これまでの治療で感染がなくなったら、歯周病によって失われた機能を取り戻すための治療が始まります。歯周病治療の着地点ともいえます。咬合治療、矯正治療、インプラント治療、補綴治療などがあり、咬合・咀嚼、審美、発音などの機能を回復するための治療です。
なかでも歯周病を治療するための矯正治療を『歯周矯正治療』といいますが、矯正治療は歯周病を治すことも可能な大切な手段です。決して見た目だけの回復ではありません。かみ合わせや骨や歯肉など歯周組織の回復を期待できる素晴らしい治療方法です。一般的な歯科医院では、いきなり削って詰めたり、矯正治療をしたり、予防や歯周基本治療をすっとばして機能回復をしてしまいます。そのせいもあり、一般的に治療といえばこの口腔機能回復治療をさすと皆さんも勘違いしてしまっているのが大きな問題です。
歯周基本治療や歯周外科治療で、感染症を治療せずに口腔機能回復治療をするから再発やトラブルが起こるので、当院ではどんなにいいセラミックのクラウンも全て応急処置と見なしています。 -
メインテナンス予防
じつはここがスタート地点です。
どんなに素晴らしい治療も、ようやく天然の歯に限りなく近い状態まで回復できたに過ぎません。どんな治療も天然歯、天然の歯周組織には到底およばないのです。歯周病治療後のメインテナンスは必須です。とはいえ、これまでずっと継続して予防しながら治療してきたので、心配することはありません。セルフケアによる日々のプラークコントロールを、歯科衛生士が行う、必要に応じた間隔のプロフェッショナルケアで補うのが最も効果的であることが実証されています。