【80代女性】右下奥歯が
今朝抜けた。痛みはない。
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当院での診断と治療方針
精密検査の結果、大部分が重度歯周炎に罹患しており、下顎の臼歯(奥歯)の多くは残根(根のみが残っている状態)でした。
数本の歯を無理に保存することも技術的には可能でしたが、今後の年齢的な体力の低下や通院負担といった「患者さんのライフステージ」を考慮すると、数年後に保存した歯が抜歯となり、その都度義歯の修理や再作製を繰り返すリスクが非常に高いと判断しました。
そのため、何度も再治療を繰り返すのではなく、「長期間、再治療なしで安定して機能するお口の環境を構築する」ことを最優先とし、患者さんとご相談のうえ全顎的な補綴治療(義歯治療)を行う方針といたしました。
治療計画とアプローチ
- 上顎:予知性を重視した総義歯への移行
中途半端な歯の保存による将来的な義歯の不安定化を避けるため、上顎は総義歯(総入れ歯)を選択しました。これにより、歯周病による抜歯の連鎖を断ち切り、長期的な安定を獲得しました。 - 下顎:平行性を確保した精密な部分義歯
奥歯の残根を無理に残すための大掛かりな外科処置は行わず、状態が比較的良好な前歯6本(両側犬歯間)を被せ物で強固に連結して支台としました。そのうえで、義歯の着脱方向を一定にするガイドプレーン(道筋)を付与し、リンガルプレート(金属のフレーム)を用いて平行性を確保。パズルのように精密に適合する、動揺の少ない義歯を作製しました。 - リスクマネジメント(埋伏智歯の抜歯)
下顎に埋伏していた親知らずについては、義歯装着後に歯肉が圧迫されて疼痛の原因となる可能性が高かったため、将来的なトラブルを未然に防ぐ目的で、義歯作製前に抜歯を行いました。
私からのコメント
歯科治療において「歯を残すこと」は基本ですが、ご高齢の場合、それがかえって将来の終わりのない通院や疼痛の原因となるケースも少なくありません。
ライフステージに深く寄り添い、「平均寿命まで再治療の負担なく、安定して快適に過ごしていただくこと」をゴールに設定しました。下顎の精密な設計をはじめ、将来起こりうるリスクを先回りして排除することで、結果として患者さんのQOL(生活の質)向上に大きく貢献できました。
| 担当医 | 関西 一史 先生 |
|---|---|
| 主訴 | 【80代女性】右下奥歯が今朝抜けた。痛みはない。 約5年前に一度取れてつけ直したが、半年以上前からグラグラしてきた。 横浜のかかりつけ医のところまでずっと通院していたが、体調の変化もあり大変なので近所で探して来院。 何十年も前から少しずつ悪くなってきた。全体的にグラつきやかけているところがあり、きちんと治療したい。 |
| 期間 | 約2年「平均寿命まで、余裕で快適に持たせる」ことをゴールに見据え、じっくりと時間をかけて土台作りから精密な設計までを行いました。 |
| 費用 | 1,950,000円 |
| 治療内容 | 全顎治療:歯周病治療、セラミック治療、抜歯、総入れ歯・部分入れ歯(金属床) |
| 治療に伴うリスク | ・治療の効果を発揮するのは、口腔衛生環境の維持にかかっているため、正しいケアと歯科医院でのメインテナンス予防が必要です。 ・くいしばりや歯ぎしりがある場合、負担がかかりやすくなり、割れや欠けが発生する可能性があります。 |