【10代女性】他院で上の前歯に虫歯があると言われた
治療前

治療後

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当院での診断と治療方針
17歳での初診でした。お母さまが当院に通われていて、娘さんの口の中を心配して連れてこられたのが始まりです。矯正も含めて、きちんと治してあげたい。そうおっしゃっていました。
ご本人には、痛みもしみる感じもありません。困っていることは何もない、という顔で座っていらっしゃいました。
ところが口の中を拝見すると、むし歯がいくつも見つかりました。歯並びの乱れ(不正咬合)もかなり強い。このまま削って詰めるだけなら、詰めたところがまた欠けて、もう一度削ることになります。削るほど歯は薄くなり、薄くなるほど欠けやすくなる。5年後、10年後には神経に届いていた可能性があります。
でも、この方には大きなものが1つありました。まだ症状が出ていなかったことです。痛くなる前に、座っていただけた。ここがこの症例でいちばん大きかった点だと思っています。
検査を進めるうちに、原因が2つあることが見えてきました。
- 1つは、歯ブラシが届かないことです。
- もう1つは、力です。
歯が重なっている部分は、どれだけ丁寧に磨いても毛先が入りません。ご本人の努力ではどうにもならない場所で、並びを直せば、そこは磨ける場所に変わります。
前歯が噛み合っていませんでした。上下の前歯のあいだに隙間が残る、開咬(かいこう/オープンバイト)という状態です。麺やサンドイッチを前歯で噛み切れないのが、いちばん分かりやすいサインになります。噛む力は前歯を素通りして、奥歯だけに集まっていました。噛み合わせの要になる第一大臼歯4本の傷みが早かったのは、細菌だけが理由ではなかったのです。
つまり、むし歯は結果でした。原因は、並びと力のほうにあったわけです。だからこの方の場合、削る前に治療計画を立てるところから始めました。10代のうちに原因まで片づけられれば、その先の何十年が変わります。
治療計画とアプローチ
まず、プラークコントロールから
歯周基本治療から順に進めました。最初にやるべきことは、ご本人が自分でばい菌を取れるようになることです。それができないうちに先へ進んでも、あとの治療は続きません。
親知らずを抜いて、並びと力の配り方を直す
親知らずを抜き、矯正治療で歯ブラシの届く形にしていきました。原因そのものを消していく工程です。
修復は、並びが決まってから
ここまで来て、ようやく修復に入ります。ダイレクトボンディング10本、セラミック修復9本。並びが動いているうちに形を決めても、噛み合わせが合わないからです。要になる第一大臼歯4本は、詰め物と部分的な被せ物(インレー・アンレー)で修復しました。力の集中していた部位ほど、修復は大きくなっています。
清掃性が極端に悪かった第一大臼歯と小臼歯には、神経を残す処置(直接覆髄)を行い、いずれも神経のある歯(生活歯)のまま残しています。
院長からのコメント
17歳で初めてお会いしたときのことを、今でもよく覚えています。ご自身にはまったく自覚がなく、お母さまに連れられて座っていらっしゃいました。あのときに「削る前に、原因から順番に片づけましょう」とお話しした計画を、最後まで走りきってくださったことになります。
高校を卒業して就職されたあと、ここからは自分で払いたい、とご本人から申し出がありました。毎月のお給料でやりくりしながら、次の1本に進むまで4か月あいた時期もあります。それでも通院が途切れることは、一度もありませんでした。自分で決めて、自分で払って、自分の口をつくり直された。この経験は、これから先ずっと効いてくると思っています。
これからも見ていくものがあります。直接覆髄を行った歯は今のところ問題なく働いていますが、神経が生き続けるかどうかは年単位で見ないと分かりません。ここは長くお付き合いしていきます。修復を一度にまとめて仕上げていないぶん、先に入れたものと後から入れたものとで、噛み合わせの高さがわずかにずれることもあります。そのことはご本人にもお伝えしています。
この進め方を、どなたにでもおすすめするわけではありません。仮歯で噛み合わせを作ってから最終的な被せ物へ移る方は、期間が空くと仮歯がすり減り、噛み合わせが狂ってしまいます。そういう方は間隔を空けずに、一度で仕上げます。短期集中のほうが、噛み合わせは良い状態で残ります。
通算6年。17歳のときに立てた計画を、社会人になったご本人がやり遂げられました。ここから先は、この状態を守っていく時間です。
| 担当医 | 関西 一史 先生 |
|---|---|
| 主訴 | 【10代女性】他院で上の前歯に虫歯があると言われた。 親知らず4本が埋まっていて、いつ抜いたらよいか知りたい。 両方の顎が、口を開けるとガクンと鳴る。 根本的な治療を希望されて母からのご紹介 |
| 期間 | 約6年(17歳での初診から。就職後はご本人の負担で、収入に合わせたペースで進めた期間です) |
| 費用 | 1,783,850円(治療当時の費用です) ※原材料価格の高騰を受けて、一部の治療費を改定しています。現在の費用は料金表をご覧ください。 |
| 治療内容 | 全顎治療:歯周病治療(歯周基本治療)、親知らずの抜歯、矯正治療、ダイレクトボンディング、セラミック修復 |
| 治療に伴うリスク | ・治療の効果を発揮するのは、口腔衛生環境の維持にかかっているため、正しいケアと歯科医院でのメインテナンス予防が必要です。 ・くいしばりや歯ぎしりがある場合、負担がかかりやすくなり、割れや欠けが発生する可能性があります。 |
※原材料価格の高騰を受けて、一部の治療費を改定しています。現在の費用は料金表をご覧ください。
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